
〇さあ、開こう!「歌の扉」
3月9日(水) 14:00〜15:15
春の訪れを感じる午後のひととき、今月も無事、「歌の扉」を
開催することができました。
講師は、いつも楽しく、そして的確なアドバイスをしてくださる
北後理恵さんです。今月も10曲教えていただきました。
1曲目は、新しく教えていただく「桜の栞」です。
女性アイドルグループ・AKB48が2010年に歌った曲です。
「初めて聴いた」という方や「何となく聴いたことはあるけど…」
という方がほとんどでしたので、少しずつメロディーを確認しながら、
教えていただきました。音符の流れが複雑ではなく、何回か練習
していくにしたがって、皆さんしっかり歌っておられました。
2曲目は、先月教えていただいた「夢想花」です。
アドバイスしていただいた♪とんで、とんで♪の歌い方や自由に
ボリュームを出して等々、気を付けながら上手に歌い上げておられました。
その後は「どこかで春が」「早春賦」「春一番」「なごり雪」
「ローレライ」「卒業写真」「瑠璃色の地球」「糸」と続きました。
コロナ禍で、以前のように皆さんにその場でリクエストを
していただくという形が取れず、スタッフが選んだ曲を歌って
いただいています。何とか皆さんのお声が反映できるよう、
今回、参加された方々にアンケートを取って、今まで教えて
いただいた曲の中から、歌いたい曲を選んでいただきました。
来月から、少しずつその曲を歌っていきたいと思います。
コロナの感染状況も明るい兆しが見えませんが、そんな時こそ、
皆さんと一緒に声を出して、楽しいひとときを過ごすことができたら
と思っています。20人の参加でした。
次回は、4月13日(水)です。皆さんのご参加をお待ちしています。

○日本語で交流会「コロナとわたしと」
3月2日(水)10:30〜12:00
3月5日(土)14:00〜15:30
共催:吹田市人権啓発推進協議会 西山田地区委員会
今年のテーマは『コロナと私と‥』です。
2日はフィリピン、ベトナム、台湾、韓国、ロシアの5人の方が、
5日は中国3人、フィリピン2人、カナダ、韓国の7人がコロナ禍の
生活で感じたことなどを、ボランティアさんの助けを借りながら
原稿を作り発表しました。
・自国との往来が不自由になって、国にいる家族のことが気掛かり
であったり、外に出かけられなくて、人と会えない日々が続いて不安
だった。人とつながることの大切さを強く感じた。
・自宅で過ごす時間が増えたので、読書や運動、料理、絵を描くなど、
在宅で出来る趣味で日々を充実させることができた。
・オンラインでの仕事の仕方や交流を覚えることが出来てよかった等
前向きに捉える発表もありました。
・3月からの新しい学習者さん(シリア)も日本語で自己紹介がありました。
ロシア出身の学習者さんが、ウクライナ情勢についてとても苦しく
思っていることを述べられて、胸が痛む場面もあった一方、ちょうど
この日、発表者の高校合格発表があり、皆から祝福されるということも
あって、全体として温かい時間であったと思います。
発表の後は、アトラクションとして、オノマトペ色々で、
雨の音、赤ん坊の泣き声、うがいの音、拍手の音などを、
それぞれの国の音で表現してもらい楽しみました。
参加者 2日 一般参加:10名 学習者:6名 スタッフ:14名
5日 一般参加:15名 学習者:8名 スタッフ:15名
事前申し込みは少なかったが当日参加者が予想外に多く、会場の換気には
気を使いました。
両日とも、終了後にボランティア説明会をおこないました。参加者4名。

〇日本語教室「西山田あいうえお」
3月2日(水)、5日(土)、人権協との共催で「日本語で交流会」が開催。
コロナ禍の現状、3年ぶりにやっと実現した「あいうえお」の
ビッグイベント。
テーマは「コロナとわたしと」。
学習者はこれまで積み上げた学習の成果を視聴者の前で、
お国の肉親への気遣いや感染状況の心配など、聞いてほしかったこ
となど堂々と披露しました。
地域住民の方々、曜日の違いで日頃顔を合わすことのない学習者
同士が、集い、笑顔で充実した時間を共有出来ました。
この日を待ちわびたボランティアは学習者の成長を目の当たりに
して指導の成果の手ごたえを感じたことでしょう。
余興は「オノマトペ」。自国の言葉で楽しそうに表現してくれま
した。
学習は3月9・16・23(水)10:30〜12:00
3月12・19(土)14:00〜15:30
〇井戸端倶楽部 共催:西山田地区福祉委員会
日 時:3月10日(木)13時30分〜15時
参加者:8名
スタッフ:13名(トライアングル2名・体操1名・含)
合計21名
午後1時35分〜2時…田中さんのご指導で体操
午後2時〜2時30分…トライアングルの演奏で春の歌6曲合唱。
「早春賦」「朧月夜」「うれしいひな祭り」「荒城の月」
「花」「北国の春」
お茶休憩:近況や次回の参加確認などを話した。
午後3時閉会したのち、スタッフ一同で次回の予定等を話し合った。
日 時:3月24日(木)13時30分〜15時
参加者:7名
スタッフ:18名
(トライアングル2名・かみしばい館6名・含)
合計25名
午後1時35分〜2時…「かみしばい館」の紙芝居
・峠の老い桜 ・まぶたの母
午後2時〜2時30分…トライアングルの演奏で春の歌6曲合唱。
「お山の杉の子」「花かげ」「仰げば尊し」
「青い山脈」「琵琶湖周航の歌」「大阪ラプソディ」
例年ひな祭りやお花見で会食を楽しんでいましたが、コロナ禍で
開催できないため、今回皆様にお弁当のお土産がありました。

○ボンジュールから始めよう!フランス語会話
@3月14日(月)10時30分〜12時
講師は乾健一さんです。
3/14日(月)からの3か月に渡る全6回の「ボンジュールから
始めよう!フランス語会話」が始まりました。コロナ渦の中での
開催なので、まず応募があるか不安でしたが、なんと蓋を開けてみ
れば定員の12名は1時間で埋まってしまうほどの超人気講座となり
キャンセル待ちが5名もいるとの事。会場にはシャンソンの音色が
響く中、講師の乾さんから自己紹介及びフランス語の世界での現状
についての説明があり、参加者の自己紹介(動機・フランス語の経験
)で1回目の講座が始まりました。
アルファベット・発音記号・母音・子音・つづり字の読み等。
最後にフランス語での自分の名前を各自発表して和やかな雰囲気で
終了しました。
次回の講座3/28(月)までの宿題も出され、緊張の中での心地よい
1日でした。
A3月28日(月)10時30分〜12時
地域によっては桜の花もちらほらと咲く季節の中、今日3/28(月)は
花冷えのする第2回目の「ボンジュールから始めるフランス語講座」
の開催となりました。本日は定員12名の参加者の中、乾講師に
よる軽快なテンポで進行しました。
今日のテーマは「文法」、私自身も苦手な分野でどうなることやら
と思っていましたが、講師の話術についつい時間も忘れあっという
間の90分でした。
面白い話を一つ紹介すると、フランス人の会話の中で「イタチ、
イタチ」という言葉が聞こえてくるのでなにかなぁと思って聞くと
「日立、日立」との事。なんとフランス語においてHは発音しないら
しい。簡単な会話の練習をして終了。
次回4/11(月)は桜も散っているのかなぁ・・・

○レッツ コグニサイズ〜身体と脳を楽しくエクササイズ〜
共催:西山田地区福祉委員会
3月16日(水)10:30〜12:00 17名参加
山田コミュニティースペースにて
コグニサイズは、コグニショ(認知)と、エクササイズ(運動)の
意味を合体させた言葉です。
認知症患者は5人に1人、軽いのも含めると4人に1人の割合でい
るそうです。
[現在ではコロナ禍で認知症の割合は増加傾向にある]
しかしまだ認知症の治療薬は日本にはなく、さまざまなサプリメン
トなどで認知症予防などを謳ったものはあるが、運動に勝る効果が
あるものは無いとのことです。ならば運動して、認知機能を回復さ
せる、認知症を遅らせる事が手っ取り早い!ということでした。
ではいざ、コグニサイズの実践タイム。
有酸素運動をしなが脳を使うことが効率が良いらしく、みんなで
「コグニラダー」という器具を使い、その「コグニラダー」の線を
基準にステップ歩きをしながら、1.2、3歩目では外に足を開いて
手を叩く。4.5.6、7歩目は足を開いて手を頭に…などと、いろんな
ルールを決めて複雑に脳を働かせて運動することを体験しました。
やってみると割と難しくて、オタオタしてしまいます。
ちょっと難しい頃合いが認知機能に刺激を与えます。
笑いながら楽しく意欲的に取り組むのが良さそうです。
本日は認知機能の能力アップになったでしょうか??
毎日の生活にコグニサイズを意識的に取り入れて健やかな毎日を?!

○ほんのひろば
3月12日(土)14:00〜15:00
親子5組(子ども7人、大人5人)参加
・図書館スタッフ加藤さん本の紹介、読み聞かせ
あそびうた「弁慶が五条の大橋をわたるとき」で体を少し動かして
からスタート
テーマ「本で世界に旅立とう」
初めから最後まで、世界地図を見ながら本の紹介をしてくださいました。
・地球生活記 紹介
モンゴル、コートジボワール、イエメン、 イラン、ベトナム、
インドネシアの珍しい家の紹介。
・世界のじゃんけん 紹介
国によって色々なじゃんけんがある。
シンガポールでは「石・竜・水」で対決する。
「チュムチュムパット!」でみんなでじゃんけんしてみました。
・パンがいっぱい 紹介
世界の色々な形のパンの紹介
・トラのじゅうたんになりたかったトラ 読み聞かせ
インドの絵本
がりがりでやせこけたトラは、宮殿の広間で楽しそうにご飯を
食べている王様一家が、うらやましくてたまらなくて、王様の
じゅうたんになろうとするお話
・3びきのやぎのがらがらどん 読み聞かせ
ノルウェーの絵本
3匹のヤギのがらがらどんは山の草場で草を食べるために、
大きなトロルの住んでいる橋を渡ります…。
・劇団「にこいち」さん
劇と工作「ペーパーさんと王様」
新聞で工作をしながら、お話が進んでいくので、子ども達、
集中してみていました。劇後には新聞の工作を、みんな覚えて
帰りました。
個人的に世界地図が好きなので、本の紹介、読み聞かせの時間、
楽しく過ごしました。子ども達も興味津々、違う文化のお話を
楽しんでいるように見えました。
後半の劇の時間も、旅に出るお話だったので、旅つながりで
楽しめました。
○英語を楽しみましょう 3月19日(土)
講師:ジャスティン・ルセロさん
初級クラス10:00〜10:50 13人参加。
前月は講師の体調不良のため休講でした。
初めに皆さんの「桜のおすすめスポット」を紹介していただき、
授業へと進みます。今月の学習は、Homonyms 同音異義語について
でした。例えば「Tailしっぽ」「Taleおはなし」など、英語にも
日本語と同じような同音異義語が沢山あります。同音異義語の
単語を調べ、ビデオを見て、講師の例文を聞き、イメージしながら
学習しました。
上級クラス11:10〜12:00 9人参加。
最初に自己紹介兼ねての「わたしの春の好きなところ」をスピーチ
してもらいます。
次は英会話のビデオを見て内容を把握して、英語ならではの表現、
慣用句を学びます。ユーモアを交えながらのシチュエーションビデ
オですが日常の会話なのでスピードも早く、分かりづらいです。
状況をイメージし易いように講師が例え話しを出して、補足の説明
をしてくれてより理解が深まります。
参加者は英語の慣用句や話し言葉に触れ、満足気でした。
次回は4月16日です。4月1日から申し込み開始です。
みなさまーLet's enjoy English!!

〇第302回 クラシック・セミナー「土曜の午後の名曲喫茶」
3月26日(土) 14:00〜16:30
【 弦楽合奏の魅力 】
蔓延防止も21日に解除され、今回は1テーブルに2名座れたので
以前に比べ少し賑やかさが戻った感じでした。 桜も咲き始めた今月
は美しい弦楽合奏の曲を聴かせていただきました。
T モーツァルト セレナード ト長調 「アイネ・クライネ・ナハ
トムジーク」 K525
この曲はモーツァルトの楽曲の中でも非常に有名な、よく知られて
いる曲で、「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」という曲名は、
ドイツ語で「小さな夜の曲」という意味だそうです。
4つの楽章から成り、全体に無駄なくスッキリした完成度の高い作品
です。
U 弦楽合奏による小品集
@ ドヴォルザーク 「我が母の教え給いし歌」
A ドルドラ 「スーヴェニール」
B トセリ 「セレナーデ」
C パラディス 「シチリア舞曲」
D プッチーニ 「菊の花」
E スコットランド民謡 「アニー・ローリ」
F アイルランド民謡 「庭の千草」
G フォスター 「故郷の人々」
以上の8曲です。
小学校の音楽で聴いた曲や、歌劇に登場する曲があり、歌曲で聴くの
とは、また違った雰囲気で弦楽器の美しさが伝わってきました。
V チャイコフスキー 弦楽セレナード ハ長調 作品48
チャイコフスキー40歳の時の作品で、第1楽章はドラマチックで
重厚な序奏で始まりテレビのCMにも使われました。 第2楽章は優雅
で上品なワルツ、第3楽章は「エレジー」と呼ばれ、第4楽章は
終結部に序奏主題再現され堂々と全曲を閉じています。
この後、現在ロシア侵攻で戦っているウクライナの国歌を聴かせて
いただきました。歌詞の和訳を見ると命がけで祖国を守るのだという
ウクライナ人の魂が感じられる大変力強い内容でした。でも毎日
ニュースでウクライナの悲惨な状況が報道されると、心が痛みます。
最後に、アメリカの作曲家、サミュエル・バーバーの弦楽四重奏曲
を弦楽合奏用に編曲された曲を聴かせていただきました。
映画 「プラトーン」 の効果音で有名になったそうです。
暗いニュースが多い日々、美しい弦楽器の音色で癒しのひと時に
なりました。 高橋先生、由井さん、ありがとうございました。
参加者は20名でした。 次回は4月23日です。

○性別の区別をなくし自分らしく生きるために!
〜性的少数者(LGBTQ)はあなたの周りに必ずいます〜
講師:山崎あおいさん
共催:吹田市人権啓発推進協議会西山田地区委員会
3月27日(日)14:00〜16:00
「LGBTQ」という言葉が広く知られるようになりました。それは決し
て特別な人でありませんが、偏ったイメージや差別があります。
男性として生まれ、心と身体が一致しないことに悩みながら女性と
して生きる決意をされた山崎あおいさんの経験と今の活動のお話を
お聞きしました。
まず2枚のアンケートを用意され、参加者はアンケートを記入しま
した。
アナタはどのように感じますか?
@見知らぬ人・他人から、ジロジロ見られたり、コソコソヒソヒソ
と噂されたり、振り返られた
A発言を全否定され、拒絶や排除された
Bイジメや差別・誹謗中傷された
C某公共施設を利用しようとした時、みんな利用しているのに、
自分だけが他のお客様にご迷惑おかけしますと言われ、
利用出来ない
Dアナタの感じている性別と反対で生涯生活(服装・トイレ・入浴・
更衣。脱衣)をしなくてはいけない
これらの質問に(爽快・やや爽快・何も感じない・やや不快・不快)
の5択で記入。結果、ほとんどの参加者がやや不快か不快を選択して
いました。
これらの質問はすべてあおいさんが実際にされた事や経験した事で
した。
あおいさんは性別に違和感を感じ始めた頃、自分は女性の物や
身につけたい事が趣味なのか?と思い、男らしくならなければと
男性らしい事を選んでこられたそうです。中学を卒業した後の進路
に工業高校に進み技術を身につけ、男らしい仕事を選び近畿電気工
事株式会社(現 株式会社きんでん)に就職されました。
違和感は続くばかりで、女性とお付き合いをすれば男らしくなるの
か?とお付き合いをされ、結婚もされ、子どもも産まれました。
とにかく男らしくなる事を選ばれたのですが気持ちが出るのでは
なく、違和感を持ち続けられたのでした。
38歳の時に性同一性障害の診断を受け、女性としての日常生活を
スタートされたのですが、今度は女性らしくなろうと頑張り過ぎて
しんどくなってしまわれました。
女性らしく。男性らしく。とは何なのか?
思い悩み、自分らしく生きよう。と気持ちを変えられたそうです。
次のアンケートは
あなたはどう思い思われてますか?
@ニューハーフとは、どのような人でしょうか?
Aオネエとは、どのような人でしょうか?
Bトランスジェンダー(性別違和・性同一性障害)の方は男性(女性)
だけど女性(男性)になりたい人でしょうか?
Cあっちのけがある人はLGBTQの人でしょうか?
DLGBTQの方は誰でも構わず襲うでしょうか?
これらの質問内容に何かしらわかっていても的確に答える事は難し
かったと思います。あおいさんは丁寧に答えて下さいました。
*ニューハーフは女性の姿を売りに商売をしている男の人。
水商売をされている方。
*オネエは男性から女性になられた人、男性で女っぽい人、
男性が男性の人を好きになる人。と、なるそうです。
*トランスジェンダーとは、女になりたいからなったのか?
男になりたいからなったか、ではないのです。
*LGBTQの人はあっちのけ?がある人や、誰でも襲う。
などは偏見そのものです。
あおいさんが強く訴えておられたのは男性、女性と区別してしまう
のではなく、自分らしく生きる事。
トランスジェンダー当事者でも一人一人の趣味や嗜好が違うという
事。
恋愛の部分が浮き彫りにされていますが性的指向が異性愛ではない
方もいるという事。
日本国内には13人に1人がLGBTQであり、その内トランスジェンダ
ーの割合は0・7%程度とのアンケート調査があります。
吹田市では人口約37.9万人に対してLGBTQは約3.4万人、
トランスジェンダーは約3000人との結果です。
想像以上に多く感じますが、身近に居ないように思います。
それぞれの事情や偏見、みんなと同じように生活をするために
わからないように生きているのです。
日常生活の何気ない会話で傷ついている人がいます。
男だから、女だから、だけでなく性別に従わなくてはならないよう
な偏見の言葉など、考えさせらる事ばかりでした。
最後にあおいさんは、性的少数者は特別扱いを望んでいません。
皆さんと同じ人です。1人の人間として見ていただきたい。と
話されていました。
感想として…あおいさんは終始笑顔でとても穏やかな方でしたが、
何を伝えたいかを強く感じる事が出来ました。
今に至るまでいろんな苦労をされてきた事と思います。
ご自身の経験やLGBTQについてとても丁寧にわかりやすくお話し
して下さり、親しみやすいお人柄でした。 23名の参加でした。

〇漢字から読み解く萬葉集 Y (第16回)
3月26日(土)10:30〜12:00
講師:中西博史さん 21名参加
待望の第六弾、各3回講座が始まりました。春の歌、3首を
選んでいただきました。
三輪山乎 然毛隱賀 雲谷裳 情有南畝
可苦佐布倍思哉
みわやまを しかもかくすか/くもだにも こころあらなも/
かくさふべしや
三輪山をそのようにも隠すのか。せめて雲だけでも心があってほし
い。何度も何度も隠すということがあってよいものだろうか。
綜痲形乃 林始乃 狹野榛能 衣尓着成
目尓都久和我勢
へそかたの はやしのさきの さのはりの きぬにつくなす
めにつくわがせ
へそかたの林の取り付きの榛の木が、衣服に染み付くように、
目に付いて仕方のないわが君よ
巻一の雑歌の部に所収される長歌の後に続く反歌(巻一の18)と
和(こた)え歌(同19)の二首
【長歌】味(うま)酒 三輪の山 あをによし 奈良の山の
山の際(ま)に い隠るまで
道の隈 い積るまでに つばらにも 見つつ行かむを しばしばも
見放(みさ)けむ山を
情(こころ)なく 雲の 隠さふべしや
(訳)
三輪の山よ、奈良の山の山の間に隠れるまで、繰り返し道を
曲がってゆくまで、存分に見続けて行きたいのに、何度も眺めたい
と思う山を、無情にも雲が隠してよいものだろうか
作者未詳であるが、江戸時代中期の国学者の賀茂真淵は長歌と
反歌は大海人皇子の歌で次の和え歌が額田王の歌であるとしていて
現代でも有力な説であるのでこれに従う。
時の皇太子は中大兄皇子で、白村江(はくすきのえ)の戦いで唐・
新羅連合軍に大敗し、水軍の侵攻を恐れて海に近い大和から内陸の
近江に遷都を断行する。すべての皇族・貴族はこれに従うことに
なる。これらはその時に詠まれた歌とされる。
大海人皇子が近江遷都により大和の地を今まさに離れようとして
いる状況を嘆き、三輪山よ、いつまでもその姿を隠さないでくれ。
と願っている歌を詠み、額田王がハンノキ或いはハギノキの色が
白い衣につくと染みが目立つように、三輪山を振り返り振り返り
いつまでも眺めておられるわが君が目について仕方ありません
ことよ、と和えている歌である。もと妃であり、斉明天皇に出仕
するため皇子の許を去ったのだから、自然とこのような親しみの
ある和え歌になったのであろう。 「へそくり」や綜痲形=三輪山の話など。
丹吉 寧樂乃京師者 咲花乃 薫如
今盛有
あをによし ならのみやこは/さくはなの にほふがごとく/
いまさかりなり
奈良の都は、咲いている花が美しく香るように今が真っ盛りである。
「あをによし」は奈良にかかる枕詞。「あを」は青、「に」はつちの意で
丹とも土とも表記。丹は赤土を云うことが多く、顔料として使われた
ことから赤の意で用いられるようになる「あをに」は青色の美しい土
で、古くは奈良の地で産出していた?説や、大宮を建てる時に土を
盛り上げて平(なら)すことから「なら」に係る詞とする説のほか、
「あをに」が青い瓦+赤い柱で、宮殿の美しさを褒める言葉の説等、
理由は未解読である。
「よし」は吉で、褒める言葉と解されていたが、賀茂真淵は「よ」は
呼びかけ、「し」は詠嘆を表し、どちらも間投助詞だと改めた。
「はな」平安初期まで多くは梅を、それ以降は桜を指すことが慣例。
ただ、小野朝臣老の歌が作られたのは晩春のころで特定の花を云う
のではないとされるが、この後の大伴四綱の歌に詠まれた藤の花を
指しているかもしれない。「長屋王の変」の後、都では聖武天皇の
もと藤原四兄弟が実権を掌握しその後、藤原光明子が皇后(民間人が
天皇に)になるような藤原家繁栄の時代背景を考え併せると、筑紫で
の小野老の歌は単に都を懐かしむ歌ではなく、藤の花に掛けた藤原
賛歌ではないかと受け取る向きもある。実際、変の直後の叙位では
小野老は昇進している。
「にほふ」丹は赤土、秀または穂は目立つところの意で「ふ」は
接尾語。本来は赤系統の色、もしくは美しさが目立つようになる場合
の視覚表現に用いられた。奈良時代になると薫、香の文字も使われ、
次第に嗅覚表現にも用いられるようになり、この歌の薫も視覚・嗅覚
両方の効果を併せ持つと思われる。万葉集で花について「かをる」と
詠まれた例はなく、「かをる」は煙・湯気・霧などが立ち込める様子を
視覚的に捉える場合に用いられた。
漢字とその読み、由来について、今回もとても詳しく紹介いただき、
万葉集を訳するだけではなく時代背景とともに歌人の想いも重ねた
漢字の深い意味、趣きまで伝えていただく貴重な講座でした。
次回も春の歌から選んでいただきます。

