≪7月講座報告≫


〇セミの羽化の観察
7月25日(金)19:00〜21:00
講師:塩田敏治さん(吹田自然観察会) 
助手:原美智枝さん 
 参加者19名(8組)
初めに公民館で塩田さんによるセミについての話を聞きました。
オスだけが鳴くことや鳴き方の特徴、近年クマゼミやミンミンゼミが
減少してアブラゼミが増えているなどのお話を聞きました。
その後羽化を見に海老池付近に全員で行きました。
木にはたくさんの幼虫の殻や登っている幼虫、羽化途中のものなど
たくさん見ることができました。
子供中心に「こっちで羽化してるよー」「みんなこっちきてー」とか
元気いっぱいで言いながら羽化の状態を観察しました。
中にはアリの大群に襲われている羽化したてのセミがいて、
「かわいそう、助けてー」という子もいましたが、親の方たちが
「自然の摂理なのでそのままにしとこうね」と言うと半分納得して
くれたようでした。羽化したてのセミは白い体で薄緑の羽根を広げ
本当に神秘的な光景を見ることができました。子供たちも喜んで
興味深く観察していたので良かったです。






〇日本語教室「西山田あいうえお」
水曜日クラス(10:30〜12:00)7月2・9・16日
土曜日クラス(14:00〜15:30)7月5・12・19日

朝からの強い日差しの中.ネッククーラーやハンディファンを使いな
がら歩く人や自転車に乗る人と擦い違うことが多くなりました。
しかし、学習者のみなさんはにこやかに日本語教室に入って来られま
した。
7月は、万博に行ったり、お里帰りをしたりで、欠席なさる人もあった
うで、ちょっと寂しい日もありました。
そのかわり、土産話やその報告は楽しく、英気を養ってられたんだな
と、幸福の御裾分けに与りました。
7月は3回の学習が各クラスで済み、夏休みに入りました。
次は水曜クラスは9月3日、土曜クラスは6日です。
心気な笑顔に会えるのを楽しみにしています。






〇人権啓発講座・講演会 戦後80年企画
 「楽しく生きる」〜平和に、自由に、感謝とともに〜
共催:吹田市人権啓発推進協議会西山田地区委員会
 西山田地区福祉委員会
講師:藤野高明さん(元盲学校教諭)86歳

参加者:74名

今年は、戦後80年、点字が生まれて200年、点字の選挙権ができて
100年という節目に当たるそうです。
この西山田公民館でも30年前に講演をされたご縁もありました壮絶な
過去をお持ちの藤野さん、小学2年生の時に不発弾の暴発により視覚と
両手を失われて、同時に弟さん5歳を失う。
手がないため点字を読めないという事で13年間学校にも行かしてもら
えなかった。その後、点字を唇で読む方の存在を知り盲学校に通い
147人のうち24人しか合格できない教員免許を取得されたのです
が、教育委員会の理解が得られずに1年半の期限が過ぎたことを理由に
もう一度試験を受けるという差別を受けられました。
その際には怒りで悔しい思いをされたそうです。
その後盲学校で30年間教壇に立たれました。
講演の項目は点字を実際に唇で読まれて進められましたが、
その内容については何も読まず、記憶だけでお話しされました。
時には冗談も言われて声もはっきりと大きくマイクなしでも良いくらい
で講演慣れされている印象でした。
話の中で印象に残ったのは、「楽しく生きる」とは目標だった。
決して楽ではなかったという事。
手がない、目が見えないのどこが楽しく生きれますか、不幸ですよ、
とはっきり言っておられたことです。
しかし、それを乗り越えて生きてこられた藤野さんのメッセージは素晴
らしいものでした。最後に質問タイムで、45年前に講演に来ていただ
いた方が覚えておられますか、という問いに当時のことを鮮明に覚えて
いらっしゃったことには記憶力のすばらしさにも感銘を受けました。
戦後80年企画第2弾で、8/3(日)に「まもるくん10歳の戦争・
吹田」があります。






〇朝の切り抜きカフェ 
7月11日(木)10:00〜11:00
朝から強い日差しで暑い日でしたが13名の参加で切り抜きカフェが
開催されました。話題は熱中症予防のお話から始まりました。
夏野菜やみそ汁を飲んだり、クーラーを上手に使うなどそれぞれの
熱中症対策を話しました。
沖縄のアメリカ世、言論・表現の自由、関税、技能実習生の収入など、
今回もいろいろな話が飛び交い、コーヒーをいただきながらの
言いっぱなし講座でした。





〇井戸端倶楽部 共催:西山田地区福祉委員会
 ●7月10日(木)13:30〜14:45
  参加者:18名
  スタッフ:15名
  (紙芝居1名、ピアノ1名・トライアングル2名含)合計33名                                           

午後1時30分〜体操
午後1時38分〜合唱
      ピアノの伴奏で「われは海の子」「追憶」「長崎の鐘」
      「いつでも夢を」
      ハーモニカ伴奏で「海」「アザミの歌」を歌った。        
午後2時00分〜紙芝居「まもるくん10歳の戦争・吹田」
     坂本衛さんが、昭和20年吹田市での空襲・爆弾投下など、 
     体験された戦争の出来事を皆に語り継ぐため冊子を作成され
     ました。
     この冊子をもとに、ふらっとサロンのメンバーなどが作られ
     た紙芝居を見せて頂き、聞かせていただいて、当時、
     吹田でも悲惨な戦争体験をされた方々がおられたことを
     知りました。
     話の内容もさることながら、紙芝居の製作・紙芝居の語り、
     等々山田西のボランタリー精神の強さにも心打たれました。
     早速ふれあいサロンでも公演をお願いし、快くお受けいただ
     きました。(7月23日予定)
午後2時45分 終了
 
 ●7月24日(木)13:30〜15:00
参加者:14名
  スタッフ:23名
 (ディンドン8名・ウクレレ1名・トライアングル2名含)
  合計37名

大変暑い日でした。暑い暑いと言いながらも、多くの方々が来てくださ
いました。
午後1時30分〜40分 健康体操
午後1時40分〜50分 
  ウクレレ伴奏で「井戸端倶楽部テーマソング」「夏休み」
  「憧れのハワイ航路」「真っ赤な太陽」を歌い、その後
  ハーモニカ伴奏で「浜辺の歌」「琵琶湖周航の歌」を歌いました。

お茶タイムをはさんで、次はディンドンさんによるハンドベルです。
「アメージンググレース」「白い恋人たち」を聴いたあと、体験で
「ふるさと」「たなばたさま」を参加者の皆さんで演奏しました。
まずは姿勢、ベルの持ち方、鳴らし方のコツ、手首を使うことが
重要と教えていただきました。楽譜の見方を教わって、少しの練習後、
実際に通してみました。実際にやってみると難しいことがわかります。
最後に「アメージンググレース」をもう一度ディンドンさんが演奏
してくださいました。日々練習されているだけあって、体験のとき
とは違う音色で、とても美しく心地よいメロディーでした。
またぜひご披露いただきたいです。






〇ほんのひろば 共催:山田駅前図書館山田分室
7月12日(土)14:00〜16:00
 (参加者:保護者8人、子ども17人)

@図書館からの本の紹介
「うみにいきる」をテーマに選んだ本を紹介していただきました。
・死んだかいぞく
・うみのまもの
・うみのおまつり どどんとせ
・歌がにがてな人魚
・わらうプランクトン
「死んだかいぞく」の絵本、表紙の絵がガイコツで、「怖い!」と
言っていたお子さんもいましたが、死生観を描いた本で心にすぅと
入るお話でした。

A英語で遊ぼう
大工みきさんによる英語教室です。
数字や生き物の名前など、英語で遊びながら学びました。
子どもたちの英語の発音が良いのにびっくりしました。

B工作
内山知子さんに教えていただき、「スイスイ♪うみがめ」を作りました。
ストローを骨組みにして、手足が動くうみがめです。
甲羅の模様に子供たちの個性が出ていました。





〇メダカのお話と育て方 
  (共催:社会を明るくする運動吹田市実施委員会)
7月13日(日)10:30〜12:00
講師:原 弘司さん
参加:親子3組(大人4名、子ども5名)、大人4名

講師の原さんは2000年(平成12)山田駅周辺の開発の際、
竹林の中のため池で救出されたメダカを飼育し続けています。
後にこのメダカは在来メダカの中でも近畿地方固有のDNAをもつものと
いうことがわかり、このメダカを「千里メダカ」と呼んで保護、繁殖
されています。
先生が持ってきてくださったのはこの「千里メダカ」の子孫になります。

はじめに、メダカの生態や上手な育て方について教えてもらいました。
・広くて浅い容器で朝日が当たるところに置ければ理想的
 室内で飼うことも出来るが、時々日光に当てることも必要
・水替えは週1〜2回、汲み置きの水道水で半分ずつくらいを替えていく
・エサは2〜3分で食べきれる量を朝夕2回
・水草  キンギョモ、マツモ、ホテイアオイなどは産卵床にもなる
・産卵から孵化まで10日〜2週間 子供が大きくなるまでは別の容器で育てる
・メダカはさびしがりやなので、オスとメスが混じった群れで泳がせるのがよい

続いてメダカの雌雄の見分け方を教えてもらい、各テーブルに準備され
ている水槽からメダカをすくい上げました。
オスは背ビレに切れ込みがある、尻ビレの形が平行四辺形で大きい
などの説明を聞いたうえで、プラスチックのカップですくったメダカを
親子で顔を寄せて判別していました。
必ずオスとメスのペアが出来るようにしてくださいということでした
が、水槽によってはメスが入っていなかったりで他の水槽から融通して
もらう場面もありましたが、それぞれ数匹ずつと水草もたっぷり
持って帰ってもらうことができました。
近年は外来生物が池や川で繁殖してしまっているので、
在来種のメダカが野生で生きられる水辺がなくなりつつあります。
希少な遺伝子を保護するために、無責任な放流などは行わず、
1〜2年の寿命を全うさせて欲しいと先生からのお願いでした。






〇さあ開こう!歌の扉
7月9日(水)14:00〜15:30
暑さ厳しい日ですが、55名の方がご参加くださいました。
講師は北後理恵さんです。
今回は暑さ吹き飛ばす歌、夏の歌を10曲ご指導いただきました。
「ほっぽちゃん」は西山田地区公民館30周年記念で作られた曲で、
作曲家の池山さんの追悼としてみんなで歌いました。
ヒメボタルのほっぽちゃんをイメージした優しいメロディーで、
お人柄が偲ばれます。「我は海の子」は明治43年の文部省唱歌ですが
、戦後国防思想や軍艦など戦争をイメージさせるとしてGHQの指示により
教科書には3番までとなっているそうです。今回は7番まで歌いました。
熱い中でしたが、皆様元気に歌われ、楽しかったとおっしゃっていました。
8月はお休みで、次回は9月10日です。
6月の参加者のアンケートの結果をふまえて、皆様のリクエスト曲より選曲します。





〇英語を楽しみましょう
7月19日(土) 講師:アイザック マクマナスさん

【初級】10:00〜10:50> 参加:25名
今回は主に現在進行形について学びました。
@先ずはモニターを見ながら内容に
合った英文を皆んなで話しました。
___ is wearing___.
【例】She is wearing a red dress.
(彼女は赤いドレスを着ています)など着用する物の名詞も学びました。
【例】Shirt(シャツ)、Sweater(セーター)、
   Pants(ズボン)、Socks(靴下)など
A次に上記の文を使ってパートナーとお互いの服について話し合いました。
【例】What are you wearing?
  (あなたは何を着ていますか?)
   I'm wearing ___.
  (私は___を着ています)
   He/She is wearing ___.
  (彼/彼女は___を着ています)
  *aをつける場合とつけない場合
  →単数か複数による
(例)パジャマは上下なので複数扱いにより"a"は付けない
B今度は自分のパートナーについて、先ほどの文を用いて先生に説明をしました。
Cbe動詞+動詞ing
その他の動詞も学びました。
【例】She is walking the dog.
  (彼女は犬を散歩させています)
    He is washing the dishes.
 (彼はお皿洗いをしています)など
 プリントにある問題も解いて答え合わせもしました。
D最後はDo you have a ?を用いてグループで会話しました。
【例】Do you have a favorite outfit?
  (お気に入りの服はありますか?)
   Yes, I do. It's___.
  (はい、あります。___です)
   No, I don't.
  (いいえ、ありません)など
皆さん積極的に参加されていてとても楽しそうでした。

【上級】11:10〜12:00
    参加:9名(うち3名は初級から続けて参加)
 今回のテーマは「Festivals」(祭り)
@【日本/イギリスのお祭りについて】
 はじめにモニターでイギリスのお祭りの様子を見せてもらいました。
記念祭といって、大勢の人たちがイギリスの国旗を抱えてお祝い
 していました。屋台は日本と少し違って、どちらかというと
バーベキューのイメージ。
続いて日本は...モニターを見たあとに皆んなで(フリーワード)を
 使ってプリントの説明文を完成させました。
【例】Festivals are (celebrated)all year round,
    but they are (very)popularin summer in Japan.
   Many towns parade a float (through)the streets.
    Some people dress in (traditional )costumes and
   there is often music and(dancing)〜以下省略
  (祭りは年中あるものですが、日本は夏が一般的です。
   町の歩道には屋台があります。一部の人は伝統的な衣装を着て
   おり音楽や踊りもよくみられます。)
A次は上記の内容について8個の質問があり、それを4個ずつ2グループ
 に分かれて答えていきました。
【例】問When are they especially popularin Japan?
   →回答summerなど
アイザック先生が日本の祭りについて何も知らないという体で、
これらの質問&回答を使って説明するという事をしました。
今回は初級の方たちも数名参加されたのですが上級の方たちと変わら
ないぐらい流暢に話されていました。
こちらのクラスにも参加される方が増えると授業が賑やかになって
良いですね!





〇第338回 クラッシック・セミナー「土曜の午後の名曲喫茶」
 7月26日(土)14:00〜16:30  
「名曲へのチャレンジ」
講師 高橋一秀先生 由井さん 19名+スタッフ
今回は作曲家や曲に纏わるクイズ形式でクラッシックを学びました。
前半10問、後半10問の計20問の3択クイズでした。
曲を聴いて誰が作曲したのか?作曲家の出身地は?第何楽章か?
第何番か?作品ナンバーは?時代背景は?など様々な視点から出題
されました。
公民館だよりには簡単なクイズ形式と書いていましたが、私には勘で
〇するしかないような内容でした。しかし、常連の方は前半10問中
9問正解の方が2人、後半10問中9問正解の方が3人などほとんどの
方が合計12問以上正解されていたと思います。
ちなみに私は前半1問、後半5問、計6問でした。
昨年から今年にかけて勉強した曲などからの出題でしたので、
先生の解説を聞くと思い出すものも多くさらに勉強になりました。
次回は9月27日「初秋の一時」チャイコフスキー交響曲など。






〇夏休みこどもクラフト〜風鈴に絵を描きましょう〜
 7月28日(月)13:30〜15:30
 参加: 子ども6人 大人3人

講師:みわぢゅんこさん
アシスタント:まさえさん

小学生優先の募集でしたが、大人も描きたいとの申し込みがあり、
子どもも大人も楽しめた講座になりました。
まず風鈴と同じ大きさの用紙に、描きたい絵や柄を描いて出来上がりを
イメージします。
それが出来たら風鈴に直接鉛筆で下絵を描きます。
描けた子からアクリル絵の具でいざ色付け!
鉛筆の下絵無しで直接描いてる子も何人もいました。
子どもの思いきりは素晴らしいです!
色がつくとまたイメージが変わり、みなさんの想像力も膨らんでいく
ようで、最初は遠慮がちに絵の具を貰いに来てた子も、この色がいい!
あの色がいい!と楽しそうに色選びをしてました。
みなさん筆使いとか難しいと思うのに、スムーズに細かく描かれてました。
早い方で1時間以内、こだわってる方でも予定時間よりもとても早く
仕上がりました。
出来上がった風鈴をみなさん扇風機の前に掲げて音色を楽しんでいました!!
西山田では初めての講師だったのですが、他の公民館では何度もされて
る先生でしたので、手順やみなさんの接し方にも慣れてましたし、
とてもいい雰囲気の中で出来ました!
11月には今度は大人向けにウッドフレームにクリスマスの絵を描く
講座も決まりましたので、またどんな作品が出来上がるのか楽しみです!







〇漢字から読み解く萬葉集 第12弾 (第34回)
   26名参加
講師:中西博史さん(漢検漢字教育サポーター)
 
3回講座の第12弾が始まります。秋の歌3首を選んで戴きました。


 展轉  戀者死友   灼然   色庭不出   朝容皃之花
    
こいまろび ほひはしぬとも/いちしろく いろにはいでじ/あさがほのはな

転がり回って身悶えし恋い死にするとしても、はっきりとは顔に
出しますまい。朝顔の花のようには。

 作者不詳(卷10、2274)「秋の相聞、花に寄す」に所収の23首の歌の1首。
恋する男性への強い思い。
その面影を片時も忘れられることはないけれども、とくに夜の閑けさ
の中では、より一層その思いがいや増して寝付けない。
毎夜毎夜、幾度も寝返りを打っては悶々とし、思うこと、考えること
は徒に堂々巡りを繰り返すばかり。
こんなことを続けていたら、あるいはこの恋のために命を落として
しまうことになるのかもしれない。眠れぬまま何度もため息をついて
いると、いつしか夜が白み始めてきた。
/庭に咲く、朝露を浮かべたキキョウの花が鮮やかな青紫の色彩を
放っているのが、眠っていない目に痛いくらいに眩しい。
この花のように、私もはっきりと顔色に出して、愛しい方に思いを
告げられたらどんなにか気持ちが楽になるのに。
でも、絶対に私は表情には出しますまい。あの方に私の恋心を悟られ
てはいけないのだ。  
その理由は歌に詠まれていない。禁忌の愛だったのかもしれない。
あえて結句に回した
「朝顔の花」の色に託した、哀しくも強い女心の歌。
このような倒置法で体現止めを使う歌は万葉集では珍しく、
それだけに一層、花の色を強調している。
「あさがほ」 (ア) 今のアサガオ(イ)ムクゲ(ウ)ヒルガオ(エ)キキョウ
(オ)そのすべての総称など。
どの花を指したのか定説がない。
ここでは、くっきりとした色であることと、当時どの家にも観られた
花として(エ)キキョウがしっくりとくる。は貌(かお、ボウ)の異体字。
 
コラム「音仮名のない和歌」
1首目の歌の表記は17字の漢字から成っているが、音仮名(万葉仮名)
がありません。
助詞、助動詞に使われる音仮名がないと非常に読みづらいのですが、
この歌はよく工夫されていて読み辛さがありません。よほど教養の
ある作者なのかも。音仮名を一切使わずに表記するのは柿本人麻呂の
初期のころに共通するもので、興味深い。



 茜刺   日者雖照有  烏玉之   夜渡月之   隠良久惜毛  
あかねさす ひはてらせれど/ぬばたまの よわたるつきの/かくらくをしも
 
日は照らしているけれど、夜空を渡る月が隠れるのが惜しい。

 柿本朝臣人麻呂(巻2、169)「挽歌」の部に所収の長歌と反歌2首
からなる歌群の末尾の歌。
長歌は二段に分かれ、第一段では天武天皇を天照大神と同格に扱い、
皇孫邇邇芸命以降の歴代天皇を無視する形で天武を天照の直接の神と
し、その血統の日嗣である草壁こそが人皇(現人神)第一代であると
している。天武の血統だけが唯一天応を継承できる血筋で、天武、
草壁、軽(文武)へと皇位を繋いでゆく(万世一系)正当性を強調している。
第二段ではそれゆえ人々はこの皇子(草壁)の統治に期待を寄せていた
のに、薨去されてしまい、お仕えしていた宮人たちはただ途方に
暮れていると悲嘆している。1首目の反歌は、長歌の第二段を受け
て、皇子の宮殿がその薨去後に寂れてゆくことへの悲しみを詠って
いる。(皇子一人に一つの宮。薨去すればあとは使わないので寂れていく)
 ひさかたの天見るごとく 仰ぎ見し皇子の御門の 荒れまく惜しも

1首目の反歌は「あかねさす」「ぬばたまの」と枕詞を添えて明に
対する暗(草壁)を浮き立たせ、それ(月)が隠れてしまう
(草壁が薨去してしまう)のが惜しいと言っている。
作者、人麻呂は持統女帝の心の内を表出、代弁するためにこの3首を
作ったのだろう。
持統女帝の努力もむなしく我が子の草壁を失った絶望感は、持統から
人麻呂へ、人麻呂から読む人へと伝わってくる。「万葉挽歌」を代表する力作。
「てらせれど」てらし+あれ(terasi+are語尾のiにaが続くときはeに
変化→terasere)の約まった形.
「かくらく」ク語法(定説なし)。かくる+あく の約と考える説が有力。


 可良己呂武 須宗尓等里都伎 奈苦古良乎 意伎弖曾伎怒也 意母奈之尓志弖
 からころむ すそにとりつき/なくこらを/おきてそきぬや おもなしにして

韓衣の裾にすがりついて泣く子どもたちを置いてきてしまった。
母親もいないのに。

 他田舎人大島(をさだのとねりおほしま)(巻20、4401)巻20の防人歌
のうちで、大伴家持に進(たてまつ)った信濃の防人の歌の中から
選ばれた3首の最初の歌。
信濃国府から難波までの引率役の部領使(ことりづかひ)が国府を
出発して間もなく急病に罹って立ち往生する。結局、国造丁である
他田舎人大島が代理として引率し、難波に着いて家持に歌12首を
進上した。家持はその中から拙劣なものを除き3首を万葉集に採り
入れた。この歌は出発間もない頃に作られたと思われる。
大島の妻はすでに亡くなったのか男やもめで、まだ幼い子供が何人か
いて、これから出征していく父の韓服の裾に取り縋って、行かないで
と泣きじゃくっている。豪族の眷属でもあり、他の防人の規範となら
なければならない身の上なので、叱ったり諭したりしてどうにか納得
させて残してきたけれど、母も父もいない家でこれからどう育って
ゆくのだろうと悔やんでいる歌。
第4句の「置きてそ来ぬや」から作者の強い後悔と心の痛みが表出
し、また結句の「母なしにして」と倒置法を使い、より深い悲嘆の
感情を呼び起こして、読む者の胸に迫る。

1首目は高校の教科書にも載るほど有名で強烈な恋愛の歌。
「高校生なら理解できる年頃かなぁ」との先生のお話。
2首目は隣国の中国の歴史に負けまいと無理矢理に作り上げた日本の
天皇の系譜を解説戴き、それを無視してでも血筋を守ろうとして徒労
に終わった持統女帝の苦悩を歌い上げた歌のお話。
3首目は防人の中でも優れた歌を、書きとめる事もせず(できず)に
詠み、それを家持が萬葉集に採り入れた才能に感心。
 最後に「信濃の国名の由来」@科野(シナの木を多く産出した)
A階野(段丘に囲まれた野)B風ナ野(風の強い所)などの説があるが
多分@が有力。
「科野」は大宝律令(701年)の国印鋳造の条件=2文字、
好字(縁起が良い字)から「信濃」に改められた。というお話。
 
次回は8月23日。まだまだ猛暑が続きますが、頭は冷静に、心はホットに、心地よく中西
先生の講座を受講したいと思います。